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ESG・SDGsと不動産投資

第2回目のコラムは、私たちが今早急に議論すべきだと考えるトピック[ESG・SDGsと不動産投資]について取り上げたいと思います。
新型コロナウイルス感染症の大流行、気候変動、紛争を始めとした世界の激動を経て、より献身的な取り組みが必要とされる分野として認識が広がってきました。私たちミレニアル世代を中心に、”エシカル消費(社会的な意義のある消費)”を意向し日常的に取り入れてる日本人も徐々に増えています。国や企業によるSDGsへの取り組みも急速に広がっているなか、不動産業界はどのようにしてESGに対応していくのでしょうか。

SDGs、ESGとは

・SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。国連が定めた2016年から2030年までに世界が達成すべき、女性問題、気候変動対策や海洋資源の保全、水やエネルギーの確保を含めた持続可能な開発目標17の目標&169ターゲットのこと。

・ESGは環境(E: Environment)、社会(S: Social)、企業統治(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉。これからの企業経営において、気候変動などを念頭においた長期的なリスクマネジメントや、企業の新たな収益創出の機会を評価する指標としてSDGsと共に注目されている。

不動産業界のSDGs・ESGへの取り組み

不動産は、その不動産が存在する地域社会の環境と密接に関わり、その中で資産価値が生まれます。ESGの意義と直結する部分が相対的に多く感じられる分、今後の日本社会において不動産業界が担うべき役割は非常に大きいと考えています。

現在までの動きとしては国土交通省による「ESG不動産投資のあり方検討会」の設置が挙げられます。不動産投資におけるESGやSDGsのあり方及び取り組みの推進のための検討を行うことが目的です。加えて、2024年度には”ESG認証制度”が導入される予定であり、これはESGに対する配慮について複数の項目で評価認証することで、”ESGに配慮されているかどうか”を透明化し分かりやすく明示していくことが狙いです。そのESGの認証結果を今後の不動産鑑定評価にも考慮することが検討されているのです。将来的には、ESG評価が高い物件の資産価値が市場でも高く取引されることになると予想されています。

ESGの認証制度によって変わる不動産投資

従来の不動産投資というのは、賃料収入や売却益などの金銭的な収支を重要視し、物件の選定や運用する方法が一般的でした。ですが、エシカル消費に慣れ親しんだミレニアム世代、Z世代がこれからの主な単身世代の入居者となります。一定の入居ニーズを確保しやすくなる環境配慮型建築物の価値が高く評価され、需要が続いていくでしょう。地域社会への貢献や環境問題への取組みなどESGの視点から運営を行うこと、この方針こそが今後の不動産事業においても大変重要になってきます。

省エネ設計(LED照明・高効率空調設備・太陽光発電など)→電気料金が安く済む
高断熱物件→冷暖房費の節約に繋がる
断熱性に優れた物件→夏は涼しく、冬は暖かい快適な環境を提供
室内に風や光を取り込む工夫を施した建物→爽やかで明るい雰囲気を演出することが可能

上記に記した通り、ESG投資は全体として人々の生活環境の改善にも繋がります。住む人や働く人が快適に過ごせるよう環境面に配慮して建物を設計することも、これからの不動産業界で求められる重要な要素です。日本社会が抱える課題、人口減少や少子高齢化、地球温暖化対策、防災減災等の喫緊の諸課題に対応した不動産の形成が活発に行われることが急がれます。

国際社会におけるESG不動産投資

SDGsは言うまでもなく全世界共通の課題となりました。そしてこの野心的な目標を達成するためには、民間が参入した世界規模の投資が必要です。進歩的なアセットマネジメントにおけるESG不動産投資は、都市化、人口動態の変化、気候変動、テクノロジー、労働形態などといったグローバルトレンドに適応しながら長期リターンを増やす手法で機関投資家による資金の流入を促しています。アメリカを始めとする世界の先進国においては、環境に配慮した建物「グリーンビルディング」の存在感が高まり、歴史的建造物の保存、太陽光発電の設置や屋上緑化、公共スペースの提供といった多様な側面において、様々な民間企業が取り組みを始めています。

※グリーンビルディング…立地、設計、建築、運営、メンテナンス、改装、解体まで、建物のライフサイクル全体を通して、環境に責任のある、資源効率の高い仕組みや方法を用いた建物

私たちのこれから

私たちミレニアム世代を含め、環境問題への意識が高くESG投資への意欲が高い若者は多くいます。ただ、エシカル消費(購買行動)に比べ、間接的と捉えられる”ESG投資”を実行する割合は少ないのが現状と言えます。特に、男性に比べて女性の投資への意欲の低さが目立ち、これは今後の金融・経済教育の革新が重要な鍵を握っていると考えます。私たちEMREは不動産を通し多くの情報発信を行い、今後の未来を担う世代へESG投資を促せる企業を目指していきます。

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