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タワーマンション節税、ルール改正へ

Categories : 不動産投資 / マンション購入

date :
2023-08-18

『タワマン節税』は、相続税軽減のための戦略の一つとして富裕層間で広く知られています。これは、遺産としての現金を高級マンションへの投資に変えることで、相続税を大幅に減少させることができます。しかしながら、国税庁は新たなルールの見直しに取り組んでいます。これにより、今までのようなタワマン節税の効果が期待しづらくなる可能性があり、将来的な相続税の計画に影響を及ぼす重要なトピックとなっています。

タワーマンション購入による節税対策の仕組み

タワーマンションの購入がなぜ相続税対策になるのか、基本的な仕組みを説明します。

相続税計算では、亡くなった人の財産全般に税金を課します。不動産、現金、預金、有価証券、動産(車、貴金属など)、負債などが含まれます。不動産の場合は購入金額ではなく、「相続税評価額」が課税価格として扱われます。不動産の評価は国の基準で算出され、市場価格のおおよそ7~8割程度とされます。例えば1億円で取引される不動産が相続税評価では約7000万円と評価され、この差が節税効果を生むのです。現金を不動産に変えることによって相続税評価額の圧縮を狙い、さらにその不動産がタワーマンションであることで節税効果を最大限発揮するということです。

タワーマンションの節税効果の理由は2つあります。

  1. 戸数と土地評価の関係: マンション内の土地評価は戸数に影響されます。戸数が多いほど、各戸の評価額が抑えられます。特にタワーマンションのように、土地面積あたりの戸数が多い場合、土地評価が効果的に低くなる仕組みです。

  2. 高層階と評価差: マンションの評価では土地と建物は別々に評価 (固定資産税評価額) されます。建物の評価は通常、階数にかかわらず同じ面積なら同じ評価額です。しかし、タワーマンションでは高層階ほど市場価格は高く取引されるので、相続税評価と市場価格の差が大きくなります。

市場価格と評価額の乖離が問題に

上記で記した通り、タワーマンションの市場価格と相続税評価額の乖離の大きさが注目されていました。通常、相続税評価額は市場価格の7〜8割程度が理想ですが、タワーマンションの場合はこの比率がさらに低くなります。

国税庁の調査によると、一戸建ての場合、市場価格と相続税評価額の乖離率は平均で1.66倍。一方で、20階以上のタワーマンションでは、乖離率が3.16倍となっています。次のルール改正は、この乖離率を揃えて行きましょうといった動きなのです。

2024年に改正!ルールの変更予定

今回のルール変更を一言で表すと、「タワーマンションにおける相続税の増税」です。要するに、タワーマンションの市場価格と相続税評価額の乖離率を縮小するため、タワーマンションの相続税評価額の算出基準が変更されます。これにより、先述のような相続税評価額と実際の取引価格(市場価格)の差に基づく節税戦略が利用できなくなる可能性があるのです。

国税庁の算出方法の変更案には以下の内容です。

  1. 築年数や階数などを考慮し、評価額と市場価格の乖離率を計算する。
  2. 乖離率が1.67倍以上の場合、通常の相続税評価額に乖離率と0.6を掛け合わせる。

タワーマンションの相続税における税制改正は2023年中に行われ、2024年1月1日以降の適用を目指しています。

相続税の節税は、不動産投資の副産物

不動産投資の副産物として可能な相続税対策は依然として有効だと考えています。実際に不動産の相続税評価額は、現在の税制において取引価格より低く抑えられているからです。近年、相続税対策については、国は厳格化する方向にあります。来年度には相続登記義務化も導入されることともあり、導入以後の動向には注意が必要です。

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